『狂四郎2030』を読んだ
先週、『狂四郎2030』という、なんだかすごい漫画を読みました。
概要は例のごとくwikiから参照します。
「スーパージャンプ」にて1997年21号より2004年16号まで連載された。
遺伝子が全ての優劣を決めるという思想、徹底的な管理社会、人殺しの心理、「理想郷」が抱える矛盾など、人間の持つ負の側面に深く踏み込んだ骨太なストーリーに加え、どんなにシリアスな場面でもギャグを挟むのを忘れない作者のスタイルも健在で、本作において一種のシチュエーション・コメディになっている。ひたすら暗く絶望的な世界観の中、主人公とヒロインの「逢いたい」という一途な想いを貫く姿と、主人公の相棒の存在が、人間の心の強さを表現している。あおり文では本作を「近未来SF冒険SEXYバイオレンスラブロマンスせんずりコメディちんこ漫画」と表現した。
掲載期間1997年-2004年なので、大体20年近く前ですね。
最後の1文がだいぶ強烈なのですが、過不足なくそのとおりの漫画です。
イマジン 2030年
主人公の狂四郎が住んでいる世界では、政府による徹底された管理の下男女が居住区画を分けて別々に生活しているため、「バーチャSEX」なるもので性欲を発散させています。
ようはVRコンテンツで、大きめの浴槽のような全身すっぽりとおさまる機械に横になり、頭に電極のようなものを装着すると、仮想空間に入ることができ、またその仮想空間内で架空のキャラクターと行為をすることができます。
Netflixオリジナルドラマ『Black Mirror』のS5E1、"Striking Vipers"を思い出しますね。
Watch Black Mirror | Netflix Official Site
これはどういう話かというと、現実世界の男性2人(友人同士)が、VR格闘ゲームの中で男性アバターと女性アバターのペアとなって対戦プレーなどしていたところ、お互いにアバターの姿で恋に落ち、仮想空間内でのみ行為をする。主人公には現実世界で異性の恋人がおり、仮想空間での出来事に苦悩する。こんな感じです。
さて、コミュニケーションについて思いを馳せてみます。
一般的にコミュニケーションは70〜93%がノンバーバルと言われていて、そういう要素を切った状態・変えた状態だと状況はまったく異なりますね。例えば考え方だったり内容のほうに重きが置かれるようになるとか。
以前見かけたもので、こういうツイートがありましたね。
すごく面白い研究。いろんな人種顔にまったく同じ発音でのドイツ語の話し声を重ねたとき、話し手の顔がアジア人顔かヨーロッパ人顔かで聴き取りやすさに差が出るそうな。また別々の顔にアジア訛りのドイツ語を重ねると、アジア顔の方で発音の間違いが余計に気になるそうなhttps://t.co/DBMu75p60g
— あきらさくらい (@AkrSakr) 2021年11月17日
また、つい先日の『マツコ会議』に仮想空間で出会い結婚した方が出演されていたようです。
私はビデオ会議でも許されるならばカメラをオフにしたいです。
これはおそらく好みの問題で、こと仕事となると、私はカメラに映った自分の顔も相手の顔も気になるし、オフにしたほうが会議の内容に集中できて効率的だと思っています。
雑談だったら顔が映っててもいいですが、VRでアバターなり何なりの表情がわかるのであれば、顔そのものである必要はないのかも、など思ったり。やったことないのでわからないですが…
こう考えると、恋愛にはじまり、人のコミュニケーションは今よりますます自由になるのでしょうし。言語の壁なんかも今は音声→文章への即時書き出しと文章→文章の即時翻訳ができるので、それを組み合わせれば口語→文章の即時翻訳ができるのでは?というのは考えますよね。
世界中の人と同時翻訳で話せるようになったら、仮想空間上で世界中の人と恋愛ができるようになる。Tinderの仮想空間バージョンが出来る。
というか、もうそうなっている?
もうそうなっていた
調べてみたら、こういったリサーチがありました。
VR SNS内での恋愛は「お砂糖」と呼ばれており、調査結果では次のようなことがわかったそうです。
私が『狂四郎2030』を読みながら脳裏でいろいろ想像していたことは、2022年の現在でもう割と進んでいたみたい。無知でした。
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『狂四郎2030』は概要にもある通り、主人公が愛する女性に会いに行く純愛ラブストーリーですが、設定は正統派ディストピア作品で、例えば1つ大きなテーマとして「優生学」を扱っている、
優生学(ゆうせいがく、英: eugenics)は、応用科学に分類される学問の一種で、一般に「生物の遺伝構造を改良する事で人類の進歩を促そうとする科学的社会改良運動」と定義される。
政府が決めた弱者は排除され格差社会が助長される、などなど、ディストピアならではのシリアス&絶望感満載な展開となっています。
そんな中で、下品な小ネタやかなりしょうもないギャグが細切れに散りばめられていることである種リズムのようなものを生んでおり、サクサクと一気に読めてしまう作品でした。
万人にはすすめられないかもしれませんが、興味のある方はぜひ。